#あすみかんの上にあすみかん

#たのしいことしかかかないことをここに決意します

「Clean Agile 基本に立ち戻れ」の輪読会をした

Clean Agile 基本に立ち戻れ の輪読会をしたので、感想をブログに残します。

どんな人におすすめか

アジャイルスクラムを触れ始めて、「やり方」や「型」がなんとなくわかってきた頃の人におすすめしたいです。 歴史と共になぜアジャイルが生まれたのか、のようなことを知れます。

意外と思想の強さが出ているところがあるので、自分の意見を持ちつつ読み進められるようになってきた頃がいいのではないか、と個人的に思いました。 私はアジャイルスクラムに触れ始めてそろそろ2年ですが、今読んでおくからこそ見えるものがあるな、と感じました。 もちろん2年待てというわけではなくて、5冊目、6冊目あたりに読むと良いのかな〜という所感。(そう思うと自分はだいぶ遅めに読んだな感ではある)

とはいえ、本書の魅力はなんといってもさっくり読める厚さなこと。 集中すれば数時間で読めるボリューム感です。 その点だけ見れば「とりあえず読んでミソ?」と薦める場面はあっても良さそう。

輪読会のすすめ方

感想ボード

感想ボードについてはMiroを使いました。 輪読会のすすめ方は以下の手順です。

  1. 事前、もしくは30分ほど時間をかけて1章分を読む
  2. 個人で思ったことや感想などの付箋をお互いに貼りあう
  3. 同じような付箋は集めつつ、「この場で語り合いたい付箋」にステッカーを貼る
  4. ステッカーが貼ってある付箋に関してのみ、順番に意見交換をする

輪読会のふせんの様子

最終的には↑のようなボリューム感になりました。 1回の輪読会は大体1時間〜1時間半かけて行いました。 どの輪読会も後半の「語り合い」フェーズは雑談ベースで進めていたので、ゆるい雰囲気で継続できて楽しかったです。

感想

今回の輪読会で印象的だったのは、章に関する感想だけでなく「そういえばこんなのを読んだことある」という知識や文献をお互い共有しあっていました。 せっかくなのでどの章でどんなものを紹介しあったかを中心にブログに残そうと思います。

第1章 アジャイル入門

ここは「アジャイルマニフェスト」の歴史が学べる章で、めちゃくちゃアベンジャーズ感があって面白かったです。 「始まりはこんなだったのか...」と文学小説を読んでいる気分で読んでいましたw

asana.com

この章で私が共有したのは「CCPM」です。 納期関連の話題があったので「そういえば、こんなプロジェクト管理手法を先輩から教えてもらった」というふうに紹介しました。

第2章 アジャイルにする理由

アジャイルにする理由」これは各自で持っておきたい答えなので、お互いにどんな理由だと思う?のような会話をしました。 書籍に出てきている「まっとうな期待」に応えるためなのではないか、という結論になった覚えがあります。

kawaguti.hateblo.jp

この章で私が共有したのは「非アジャイルマニフェスト」です。 もし、アジャイルじゃなかった時の世界線...として、この「非」にしたバージョンの言い回しが「こんなの嫌ァ!!!」という気持ちに手っ取り早くさせてくれたな、と印象的だったので紹介しましたw

第3章 ビジネスプラクティス

「見積もり」の話が多めに書いてあった章だったのでその話題を中心に話していました。 アジャイル文脈だと見積もりは曖昧だが、リリース日や開発費用が確定しているものに関しては相性がわるいよね、という話から、スクラムチームだけアジャイルな働き方をしているとやりづらい、のような話をしました。

speakerdeck.com

「まさにこれだ!」と思ったので、この資料を共有しました。 関連部署全員でアジャイルになってからが真のスタート地点だな、と思います。

第4章 チームプラクティス

「メタファー(話す言語や単語を揃える)」、「ドメイン駆動設計」の話から、「持続可能なペース」として「残業」や「睡眠」についても触れられていて、大変人間らしいことが書いてあって個人的に好きな章です。 後半にはスタンドアップミーティングについても触れられていました。

www.ryuzee.com

そこで、共有してもらったのは「スクラムで削除された5つのトピック」についてです。 書籍の中ではスタンドアップミーティングの3つの質問が紹介されていますが、スクラムガイド2020のデイリースクラムにはHOW(質問の中身)は削除されています。 これは、HOWだけが浸透して進捗報告会になってしまうからだ、と記述されています。(めちゃくちゃ納得する理由)

デイリースクラムの文脈でいうと、「スプリントゴールが達成できているかを精査する時間」ですが、見落としてしまい進捗報告になる雰囲気はめちゃくちゃやりがちだなぁと思います。(自分もそうだった) どのイベントも「検査」をしている時間なんだぞ、というのは心に刻んでいきたい。

第5章 テクニカルプラクティス

この章の時は主にペアプロ・TDDの話題で盛り上がったのですが、ブログではTDDについて触れます。 「動くコード」「クリーンなコード」を一気に書くのは難しいからTDDを用いて「動くコード」を書き、その後リファクタリングで「クリーンなコード」を書くんだぞ、という部分にめちゃくちゃ納得しました。 そもそもリファクタってテストがある状況じゃないとやっちゃダメなやつだよね、というのを改めて認識して自分の中に落とし込めました。

t-wada.hatenablog.jp

その文脈でこの記事を共有してもらい、改めてTDDってこんなものだよね、と一緒に読み進めました。

第6章 アジャイルになる

この章は特に・・・特に「思想」を強く感じました・・・!ww

特に「今あるアジャイルの認定資格は、完全なるジョークであり」というのは声を出して笑ってしましました。 個人的には、ある程度レールを敷いてもらっている「研修」を受けたからこそ今の自分があるので、完全に肯定、という気持ちではないですが、「俺は資格を持ってるからすごい!」とか「資格をもってるから完全に理解している」とかは確かにまったく違うな、と思います。 言葉がつよいだけで、考えている方向性は同じだと思いたい・・・。

martinfowler.com

この章で共有してもらったのは上記の「ヘロヘロスクラム」の原典(?)です。 本書の中で出てきた言葉でしたが、聞いたことがなかったのでこちらを一緒に読み進めました。

第7章 クラフトマンシップ

ソフトウェアクラフトマンシップマニフェスト、というのをこの本を読んで初めて知りました。 知らなかったとはいえ、読んでみるとめちゃくちゃしっくりしました。 アジャイルマニフェストだけじゃ文脈が足りなかった部分をきっちり捕捉している概念だな、と思いました。

技術力高くないとそもそもお話にならない、とか、プラクティスが先走って「プロダクトの価値をつくる」にちゃんと向いてない、のようなところが捕捉されているように感じました。(素敵!!)

ここの章では「アジャイルって何?というのが結局人によってバラバラそう」という付箋から派生して、その時話題になっていた「ウォーターフォールアジャイルを比較したような記事」などをいろいろ雑談として話しました(とくにリンクは貼りません)

全体を読んでみての感想

読みやすいボリューム感でこの話題の広さをすくっているの、改めてすごいな・・・という所感です。 人と一緒に読んだので、いろいろと文脈を補足しながら読めたのがよかった。

初級から中級に上がりたいチームでの輪読会としてもおすすめできるかも。